夏休みといえば探検だ

「リンガラ語にはありがとうという言葉がない。誰かに贈り物をするのは、向こうにもらう権利があるからだ。」そんな殺伐とした科白を口にするコンゴ生物学者マルセラン・アニャーニャ博士。友達になれそうもない...


コンゴ・ジャーニー/レドモンド・オハンロン
1990年代、コンゴの密林に幻の恐竜モケレ・ムベンベを探して。コンゴ川上流の湖に恐竜が棲息しているというピグミーの言い伝えに誘われて、英国人旅行記作家が全財産をなげうつ旅に出た。アメリカ人動物行動学者(ジャングル嫌い)とコンゴ生物学者(女たらし)を道連れに、賄賂を毟られても、下痢や呪術で死ぬ目にあっても、奥地へ、奥地へ――。カズオ・イシグロをして「とんでもない傑作」と言わしめた大旅行記


確かにおもしろい。おもしろいところは多々ある。でも、それ以上に上下巻延々と続く独白や緻密な描写には相当グッタリさせられる。ひょっとしてこれは無辺のジャングルと魂の孤独を文字であらわした実験文学なのだろうか? 違うだろ。
しかもモケレ・ムベンベ探しの旅は、三分の一程で、それも割とアッサリ終わったりして...


「湖岸から百メートル沖に出たところで、湖の深さは1メートル20センチなのか。たぶん、湖の中央部分はもっと深いのだろう。それとも、モケレ・ムベンベは非常に小さい恐竜なのか。それとも.....とても平べったい恐竜なのか」


思考と生活がフリーダムな人向けの本といえる。


鴨汁